パチカセット

パチソンCD掴まされて最悪だ売るに売れねえしメーカーふざけんな
って記事があったので居ても立っても矢も盾もいたたまらなくなったので投稿したもの。



 念のため述べますと、私は歌手でもなければ、Tone社員でもなく、またToneに働いている親戚・知人が居るわけでもありません。にも関わらず、Toneをフォローする文を書かせて頂こうと思ったのは、私にとってToneが非常に思い入れのあるレーベルだからです。

 現在26歳の私が9歳のころ、同じように好きなアニメの歌がたくさん入っているという理由で、3本セットのカセットテープを1500円で買いました。当時の私には大金でした。知ったのは近年ですが、それがToneから出ていた物でした。
 聞いてみるとやはり原曲とは違う物、かけ離れた物も多かったのですが、私は一週間に一度、決まった時間に1番しか聞けない大好きな曲が、フルサイズで好きな時に何回でも聴ける。それだけでたまらなく嬉しかったのです。

 2番を初めて聞いた曲も多くありました。普段TVにかじり付いて見ているだけでは、到底聞くことのできない部分。それが露わになるたびにワクワクドキドキしました。カセットに使うのは不相応で、今ではあまり使われなくなった言葉なのかもしれませんが、文字通り、擦り切れるほど、何度も何度も繰り返し聞きました。運良く今も残っている幾つかのカセットも、よく聞いていた部分はみっともない音になっています。
 文中「偽物」という表現がありましたが、私にとってはこれも本物の1つでした。子供の耳で聞いても、明らかに原曲と違うものが少なくありませんでしたが、毎週TVから流れてきた主題歌と同様、暇があるたび繰り返し聞いたこのカセットの音源たちもまた、私にはとても大切で、大好きな曲たちでした。

 確かに、原曲を期待していたとすれば、納得のいかないものだとは思います。
 ですが、どうかその1点だけでToneや、カバー・アレンジの音源、それ自体を憎く、悪く思わないで欲しいのです。

 CDに歌手名と演奏者が明記されているならば、これ以上分りやすいことはありません。日本著作権協会のシールも貼ってあり、楽曲を使用する権利もクリア。
 また、******さんが訪れたToneのホームページですが、今年の春先までCD1枚に好みの12曲1500円程度で、試聴可能な通販もされていました。残念ながら終了してしまいましたが、カバー・アレンジの音源を発売する上で試聴も可能というのは、良心的なサービスだと思います。

 また、こういった曲の場合、歌い手にも相応の実力が求められます。
 原曲ありきですので、雰囲気を似せようとして不自然さが際だつのですが、そうしてなお歌いこなす実力のある方が、歌を担当することが多くあります。
 これは大げさですが、ある種「スタジオミュージシャン」的な、表舞台に立つことが少ない歌い手の歌が聞ける場合もあります。(そのジャンルに於いて)有名な歌手が歌を担当した盤に高値がつくことは珍しくありません。

 相応の土台・歴史のあるジャンルでもあります。
 私の父親くらいの年齢でも、こういったカバー・アレンジの曲について、思い出話を楽しそうに話してくれる人が居ます。

 原曲に愛着があるが故に、それを尊重し、原曲から派生したものも楽しむ。
 私や、私の周りのように、そういった点に魅力を感じている者も、決して多くないながらも、しかし確かに居るのだと、知って頂ければ幸いです。



(20081002にgooブログにコメントしたものを修正して転記)